【FF16】ファイナルファンタジー16 体験版配信開始したので遊んだ【デモ版感想・評価】

ファイナルファンタジー16 体験版 配信開始インプレッション
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発売直前にデモ版の配信がスタート

 2023年6月22日に発売を控えた『ファイナルファンタジーXVI』だが、6月12日プレローンチイベントにおいて体験版が配信日時が告知され配信開始となった。デモ版の配信については過去ゲームメディアによるインタビューにおいて、プロデューサーの吉田直樹さんより発売直前に配信予定と言及されていたものだ。

――配信で盛り上がるのも楽しみですね。また、本作は体験版を出す予定はありますか?

吉田 体験版は予定しています。ただ、その配信は発売直前にする予定です。これは、発売の何ヵ月も前に出すと、体験版で得たプレイ欲求が薄れてしまうためです。すでに体験版の準備は進めているのですが、おそらく発売日の2週間ほど前に、ストーリーの冒頭がプレイできるものをお届けする形になるかなと。

 –中略–

 『FF』シリーズの従来のファンにとっては、序盤のストーリーが体験できるもので満足していただけるかと思います。ただ、シリーズを遊んでいない方にとっては、バトルに特化した、複数の召喚獣が使えるようなバージョンを用意したほうがいいかもしれない、という案も出ています。最終的な判断は、今回のメディアツアーの反応を見て決めようかなと思っています。

引用元:ファミ通.com『FF16』開発インタビュー。アクションゲーム初心者から上級者まで堪能できる “一流のストーリーゲーム”。体験版配信への言及も【『FF16』メディアツアー】

 インタビュー当時はデモ版の内容が固まっていなかったようだが、配信された体験版は物語冒頭約2時間~2時間半程度のストーリーを遊べ、体験版のクリアセーブデータは製品版にも引き継ぎ可能。さらに体験版クリア後は、ある程度ゲームを進行させた状態でバトルを楽しめるモードが別途用意されており、バトルを楽しみにしているユーザーにも配慮されたものだった。

 実際に遊んだのでその感想をまとめてみる。シナリオの詳細については言及しないが、ある程度は触れざるを得ない点にはご注意いただきたい。尚、感想はあくまでデモ版の範疇に対してのものなので製品版では評価が変わる可能性がある。また、「アクションフォーカスモード」でプレイした。

体験版の概要

ストーリー

 物語導入は戦士の青年クライヴが仲間とおぼしき者たちと何らかの目的を果たすため、ある国同士の戦場に赴く最中、両国が抱えるドミナント(召喚獣を宿す者)同士の大規模戦闘に巻き込まれ意識を失い13年前の過去の少年期を回想する。という流れだ。

 ドミナントとはこの世界における戦略兵器のようなもので、一人でも戦況をひっくり返すほどの強大な力を持っているようだ。メディアレポートによると『FF16』本編はクライヴの少年期、青年期、壮年期に時代が別れた復讐劇で、体験版では少年期が中心となる。

世界観

 『ファイナルファンタジー』シリーズはシリーズ作でありながら作品ごとに世界観が大きくことなる。初代『ファイナルファンタジー(1987)』はいわゆる剣と魔法のファンタジー世界観に比較的忠実でありながら、「飛空艇」のようなSF要素を部分的に織り込んだ作品だった。その後も機械文明(3)、宇宙SF(4)、スチームパンク(6)、エコロジー(7)、学園物(8)、アジアンテイスト(10)、ロードムービー(15)と要素を盛り込んできたが、本作はオーソドックスなファンタジー世界へリセットするように『ウィッチャー3 ワイルドハント』や『ゲーム・オブ・スローンズ(映像作品)』を思わせる純粋なダークファンタジーを目指したように見える。

よかったところ

シリーズの中でも最もアクションに寄せたデザイン

 4ボタン+LRの組み合わせが中心のシンプルな構成。戦闘中に意識するのは以下のポイントで、

  1. 相手に攻撃して体力を削る
  2. 相手の攻撃を避けてダメージを回避
  3. 相手のウィルゲージ(ゲージ0でダウンさせる)を削る

この3点が基本になる。3の「ウィルゲージ」を削り切ると相手がダウンするので、その間に召喚獣アビリティを浴びせ、相手が立ち直ったらまたウィルゲージを削るというサイクルになっている。

 その他ボタン同時押しによる特殊コマンド技があるが、それも多くなく体験版内においては必須といえるほど強力なものではなかったが、ここはアビリティポイントを割り振ることで強化できるのでゲームの進行次第で有用性が変わる可能性がある。

 僕自身『ベヨネッタ』のような自由度の高いコンボアクションは得意ではないが、本作はチュートリアルが丁寧なのととれる選択肢が広すぎず、体験版終了まで操作が混乱することなく攻撃と回避をちゃんと意識したプレイができ、所謂ガチャプレイになることはなかった。

属性要素の廃止

 属性を司る召喚獣がストーリーの中心と鳴る本作だが、実は戦闘においては属性の区別がない。さらに物理攻撃と魔法攻撃の区別もしない仕様になっているという。メディアインタビューによると、アクション方面への注力を考えたときに、属性の付替えやステータスの細分化はプレイヤーの手間となると考えた結果のようだ。

――ちなみに召喚獣には、たとえばフェニックスであれば火属性……など、属性は設定されていたりするのでしょうか?

高井 属性の仕組みは入れていません。どんな相手にでも自分が使いたいと思った召喚獣で、100%の性能を出せるようになっています。もちろん、炎のエフェクトがついたりとグラフィック面で区別はしていますが、炎の敵と戦うときは氷の召喚獣に付け替えたほうがいい、などの法則はありません。そこに頭を使うという考えはないです。

――物理攻撃、魔法攻撃といった区別もしていないのでしょうか?

高井 ないですね。攻撃力に付随したダメージが入るようになっています。

吉田 属性をつけようと思えばできたのですが、やはりどうにも気乗りがしないのです。属性をつけると、たとえばお気に入りのアクションのコンビネーションができて、セットが固まったとしても、「つぎに戦う敵の属性がこれだから」と、使いたくない召喚獣をセットしなおさなければならなくなる。そういう手間がいい、という人がいるのもわかりますが、今回はアクションに振り切った作品なので、属性は撤廃しました

※中略※

鈴木 属性はありませんが、この敵にはこのアビリティが有効、この召喚獣が有利というのは意識して調整しています。

吉田 相手の攻撃スタイルに対して対応しやすいという意味ですね。

引用元:ファミ通.com『『FF16』開発インタビュー。アクションゲーム初心者から上級者まで堪能できる “一流のストーリーゲーム”。体験版配信への言及も【『FF16』メディアツアー】』

 確かに、使えるボタン数が少ない中、それぞれ使い勝手を持つ技がさらに属性まで帯びてしまえば、技の有用性が下がってしまうし、ダンジョンやボス戦の度にビルドを組み直す手間がありそうだ(それが楽しいという声も分かるが)。本作はコマンドRPGではなくアクションに振る方針であるなら、属性撤廃は良い判断と感じた。

硬派なファンタジー世界観

 本作の世界は過去シリーズに比べてだいぶ大人向けの話になっている。セクシャルな表現にせよ、流血の表現にせよ、国産ゲームにしては珍しいレベルで振り切った表現をしている(とはいえ『ウィッチャー』ほど過激ではないが)。

 和製ファンタジーは、体格に見合わない武器や肌の露出の多い装備等、現実性を無視したものが多くなりがちだ。今やひとつのジャンルとして認知されている側面はあるものの、個人的にこの不自然さはあまり好みではない。

 本作はファンタジーとしての美麗さよりも、ひとつの世界としての実在感を重視しているように感じた。作品独自の固有名詞や文化は多くなく、ゲーム世界に入り込むことを阻害しない程度に抑えられている。演出に関しては、重要そうな人物があっさり死んでしまうようなドライさすらあり、長々とセリフで語るような間延び展開を潔くカットしている点は好印象だった。

ストーリーのフックの強さ

 本体験版では『FF16』が復讐劇であることを示すきっかけが描かれており、体験版終盤のある出来事が残酷なまでにクライヴを打ちのめしてしまう。一般的RPGというのは、序盤は村の見回りやらおつかいを頼まれていきながら、中盤にかけて徐々に大きな目的(倒すべき敵)が明らかになっていく展開が多いが、本作はゲーム開始直後からプレイヤーを圧倒するシーンが連続し間延びしない、さらに体験版を終える約3時間の間に『FF16』が何をするための物語になるのかが明確に示される。(当然謎も多く張られている)

ファンサービス的目線

 本作は物語も世界観も「重い」ことから、プレイするのは過去のシリーズ作の中でも突出してハードだ。しかし、体験版中の竜騎士(と思われる敵)の登場ポーズは『FF4』のタイトルロゴを明らかに意識して模しており、ケレン味あふれるモーションとあわせて本作が国産のゲームであり、『FF』シリーズであることを思い出させてくれた。このようなファンサービスは過剰になると目ざといが、少なくとも体験版中で見られるものはこの1シーンのみであったので、今のところ良いエッセンスになっている。

気になったところ

画面の暗さ、見えづらい攻撃と単調めな戦闘

 本作では夜間シーンが多いことと全体的に彩度を落とした画作りもあって、デフォルトの明るさ設定ではかなり見えづらさを感じた。明るく変更しても限界があり、敵の攻撃の予備動作(特に人型のような小さい敵)が分かりづらく、回避の許容範囲はシビアではないものの、回避できずダメージを受ける場面があった。

(※追記※2023年6月17日
 『『FINAL FANTASY XVI』発売直前!情報総まとめスペシャル生放送』上にて、画面の暗さは、UIやエフェクトをはっきり見せるための措置、チームの好み、HDR環境を前提とした調整という複数の理由が挙げられた。全体的にかなり明るさを絞った調整をしているとのこと。HDR環境でないいわゆるSDR環境の場合は明るさ調整をお願いしたいとのこと。)

特に暗いシーンシネマティックシーンの長さは、やはり序盤ゆえの采配とのことだった。徐々にシネマティックシーンの頻度や割合は減っていき、体験版内の別モード「召喚獣バトル」程度の割合に落ち着ことのこと。

 魔法を使ってくる敵は遠距離から攻撃してくるが、画面外からの攻撃は対処が難しい。ボス等一部の強力な攻撃はフィールド状にマーカーが設置されて視覚的にわかりやすい一方。画面外からの遠距離攻撃は予兆がなく、頻度は少ないが回避が困難な印象を受けた。

 また、序盤ということもあり使えるアビリティには限りがある。攻撃してウィルゲージを削りダウンをとったら召喚獣アビリティで攻撃するという手順は体験版の間変化がなく、やや単調に感じた。その点は製品版での進行により戦略の組み立てが変化していくことを期待しよう。

頻繁かつ長いシネマティックシーン

 正直なところ体験版を遊んでいてしんどさを感じたのがシネマティックシーンの長さだ。説明しなければならないことが多い序盤である程度仕方がないとも思うが、ゲームをスタートしチュートリアルを終えて本格的なゲーム(ダンジョン探索や戦闘)が始まるまでそれなりの時間を要した。ダンジョン中も度々中断されるので、今どき珍しいほどにコントローラーを操作しない時間が多いように感じた。

(※追記※2023年6月17日
 『『FINAL FANTASY XVI』発売直前!情報総まとめスペシャル生放送』上にて、シネマティックシーンの長さは、やはり序盤ゆえの采配とのことだった。徐々にシネマティックシーンの頻度や割合は減っていき、体験版内の別モード「召喚獣バトル」程度の割合に落ち着ことのこと。)

 また、大きな扉を開くときなどに簡易のボタン操作を強要される点も、遊びとしての必然性があるとは思えず、演出によってプレイを間延びさせないための穴埋め的な措置になっている。

 購入が確定している人はデモ版を遊ぶか、発売日当日まで我慢するか悩ましいところだが、購入の決断がつかない人はぜひデモ版をダウンロードしてみよう!

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