『戦場のフーガ』はこんなゲーム【クリア済み評価と感想】ネタバレなし

戦場のフーガ概要レビュー
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ゲームの概要

 『戦場のフーガ』は2021年にサイバーコネクトツーより発売されたシミュレーションRPGだ。帝国の侵略によって家族を連れ去られた村の子供たちが、謎の巨大な戦車タラニスを発見。タラニス内に響く謎の声の導きにより、家族を取り戻すべく帝国へ反旗を翻す出向く物語だ。

 本作はサイバーコネクトツー(当時の社名はサイバーコネクト)が過去開発した『テイルコンチェルト(1998)』『Solatorobo それからCODAへ(2010)』と同一世界の話である『リトルテイルブロンクス』シリーズの1作であり、2023年5月に発売の『戦場のフーガ2』を含む『復讐三部作』の1作目にあたる。しかしストーリーは本作単独で成立しており、予習の必要はなく話もちゃんとケリがつくので安心してほしい。

 ゲームは主にフィールドを進行する「移動」パート、敵と戦う「戦闘」パートと、仲間との交流や戦車タラニスを強化する「インターミッション」パートに大別され、「移動」の合間に「戦闘」「インターミッション」が挟まる流れだ。小規模&短期開発を前提に開発が始まった経緯から、一般的RPGにありがちな重厚長大路線はあえて取らず、選択と集中によりゲームの核を磨くスタイルとなっており、その他の要素は概ね簡素化されている。

 実際にプレイしクリアまで遊んだので、『戦場のフーガ』がどんなゲームなのか書いてみた。

移動パート

リスクとリターンのルート採り

 移動パートは一般的なRPGと違い自由移動はできない。フィールドはすごろくのマス目状に表現され、各章内にルート分岐がいくつかある程度でほぼ一本道といっていい。各マスには戦闘、アイテム取得、回復等通過することで発生するイベントが分かるようになっており、現在地の少し先まで見通せる。ルート選択で変わるのはあくまで攻略難度に関わる要素だけで、シナリオ展開に変化はない。

 分岐点に来たら戦車タラニスの体力やこども達の状況を鑑みながら、「安全な道」「普通の道」「危険な道」の中からルートを選択することになる。リスクが高いルートを取れば、先には強敵や連戦が待ち構えており苦戦は必至だが、戦闘クリア報酬やルート上の戦車強化アイテムが拾える等相応の恩恵がある。僕は長期的なメリットが大きいと踏んで、リスクの高いルートを優先して進んでいった。

戦闘パート

組み合わせのシナジーを考えろ

 戦車タラニスには3つの砲台が備わっており、子供たちの中からそれぞれ砲手担当とサポート担当を選んで配置する。砲手担当キャラクターによって攻撃属性、ステータス、使用できるスキルが決まり、サポート担当キャラクターによってサポート効果(例:後衛がハンナなら攻撃後少量HPが回復等)が決まる。配置は戦闘中にも変更できるが、変更後1ターン経つまでは再配置はできない。敵の装甲レベルを一気に下げたいときはマシンガン属性のキャラクターを前衛に置き、一気に力押ししたいしたい場面ではキャノン属性のキャラクターを前衛に配置するなど、適宜組み合わせを変えながら攻略していくことになる。

攻撃か防御か回復か

 本作は敵の攻撃が苛烈で1回の行動がもたらす結果のウェイトが重い。攻撃を仕掛けるには敵から相応の反撃を貰うことを覚悟する必要があるし、防御は敵の1ターン持続するが、一度攻撃を受けると解除されるので敵の連続攻撃に対しては万能ではない。さらに体力が半分を切ると被弾時に命中率低下やスキル使用不可のデバフを確率で受けるようになるため、回復もおろそかにはできない。

 つまり行動のメリットだけを見ての判断は非常に危険で、デメリットとのバランスを天秤にかけることになる。戦闘中は互いの行動順がタイムライン上で分かるようになっているため、相手の次の行動を予測し「誰がいつどの行動を取るか」の判断が重要だ。

弱点を突くか、装甲レベルを下げるか、力で押し切るか、

 攻撃には「キャノン」「グレネード」「マシンガン」という攻撃力と命中率のバランスが異なる3属性がある。敵には弱点属性が必ず設定されており、弱点属性攻撃を当てることで敵の行動を遅らせることができる。次の攻撃が強力とわかっている場合は、弱点を突いて敵の行動を遅らせ、行動順が回って来る前に撃破するというプレイも可能だ。

 また敵に「装甲レベル」の概念がある。いわば防御力を簡潔に数値にしたもので、数値が高いほど防御力補正がかかる。装甲レベルは特定のスキルかアイテムを使って下げることができるので、強力な攻撃を当てる前に、下げきってしまおう(一部装甲レベルを回復する敵もいる)。

 基本的には敵の数を減らすことが戦法の定石になるため、必ずしも弱点属性や装甲レベルダウンを狙う必要はない。撃破が見込めるならあえて命中率低めの強い攻撃で押し切る判断も必要だ。

イカれた兵器ソウルキャノン

 本作最大の特徴は「ソウルキャノン」にあると言っていいだろう。ソウルキャノンは自由に使えるわけではないが、戦闘でピンチに陥ると戦車タラニスの独自判断によって使用可能になる兵器だ。使用判断はプレイヤーが決められるが、これを使えば「ラスボスを含めてどんな敵でも一撃で倒せる」強力無比な攻撃力をもっている。

 ソウルキャノンを使用には代償があり、それはなんと「子供ひとりの犠牲」だ。こどもの命を弾丸として敵を撃破するので、選ばれたこどもは消えてなくなる(誰を弾丸とするかもプレイヤーが選択する)ので、当然その後戦闘には参加できないし、イベントにも登場しない。ピンチを迎えたとき、「何とか踏ん張り打開を模索する」か「インターミッションからやり直して戦略を練り直す」か「子供ひとり犠牲にして恒久的な不利を抱えたまま進行するか」の3択から選ぶことになる。

逆転要素

 戦闘パートのエフェクトは派手で音も気持ちいいが、敵は全体的に固めなので互いの体力を少しずつ削り合う消耗戦のような様相になりがちだ。経過ターン数が多いと戦闘毎の評価も下がり経験値ボーナスもなくなるため、いかに手早く敵を倒すかを考えられると成長が早まり長期的には有利になる。手早く倒したいがソウルキャノンは使いたくない、そんなとき有効活用したいのが逆転要素の「協力必殺技」と「ヒーローモード」だ。

 「協力必殺技」は砲手とサポートでペアを組んだキャラクターで発動できる。全体攻撃とサポート効果の組み合わせで複数の敵がいる場合に有効だ。「ヒーローモード」は戦闘を繰り返しテンションが上昇することで、「スキル消費ポイントゼロ」「回復力2倍」「スキル使用後即行動可」等キャラクター固有の強化状態が数ターン持続する。どちらも頻繁に使う機会はないがかなり強力だ。どちらもある程度発動タイミングは調整できるのでうまく活用しよう。

インターミッションパート

戦闘を有利に進めるための強化パート

 フィールド内にはインターミッション枠があり、一章あたり3回程度インターミッションパートに切り替わる。インターミッションではキャラクターを操作してタラニス内を歩き回り、タラニスの装備を強化したり、仲間と話して親愛度を高め協力必殺技を発動しやすくしたり、料理を食べることでバフをかけたり、戦闘を有利に進める準備ができる。

限られた行動ポイント

 インターミッションパートで何かしらアクションを起こすと「AP」という行動ポイントを消費する(一部AP消費のない行動もある)。APは各インターミッションごとに20まで与えられその範囲内でしか行動できず、ゲーム進行の中で上限が増えることもない、さらに持ち越しもできない。

 戦車の強化や素材収集を優先すれば、親密度アップやケガや不調からの回復の機会を逃すといった取捨選択が必要で、必ずしも万全な準備ができるわけではない。何をするかはポイントの配分と優先順位を意識して決め、必ず使い切るようにしよう。

親密イベント

 戦闘パートでペアを組ませると、インターミッションパートではキャラクター同士で会話をすると親愛度が上がっていく。一定の親愛レベルを達成すれば「絆イベント」が発生し前述の協力必殺技が使えるようになる。さらにレベルを一定に上げると協力必殺技が強化される。前述の行動ポイント制限により全員の親愛度を均等に上げることはできないため、戦闘でよくつかうペアの組み合わせを考えながら交流する必要がある。

よかったところと不満なところ

 『戦場のフーガ』をクリアしてよかったところと不満なところは別記事にまとめる予定なので。良ければ読んでみてほしい。

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