生まれて始めて触ったゲームを覚えているだろうか。僕は覚えていない。物心つく頃には「ツインファミコン」と何本かゲームソフトがあった。ゲームの最も古い記憶を遡れば、「ロックマン2」とか「スーパーマリオブラザーズ3」あたりがたぶん僕の初めてのゲーム体験なのだと思う。人によっては「ドラクエ」かもしれないし、ゲームウォッチのようなLSIゲームかもしれない。今どきの子なら親のスマホで触ったゲームアプリか、「マインクラフト」や「フォートナイト」だってあるだろう。初めてハマったゲームが自分のゲーム人生にどれだけ影響しているかわからないけれど、少なくとも僕はプラットフォームアクションが好きなゲーマーになった。
ここ好き
今どき珍しい3Dプラットフォームアクション
『リビッツ!ビッグ・アドベンチャー』はオーソドックスな3Dプラットフォームアクションだ。『リトル・ビッグ・プラネット』シリーズであったクリエイト機能は完全に廃止され、純粋なアクションゲームに特化して作られている。ステージ制で足場をわたり、敵を踏みつけ、すべり台を滑走し、コイン(本作では「バブル」と呼ばれる)を集める、あの流れだ。ゲームメカニクスはあまりにシンプルで今どき珍しいくらいだが、なんともこれが楽しい。
多彩なステージバリエーション
シンプル故にステージのギミックや演出が単調だと飽きが早く訪れそうだがそれは杞憂だ。ギミックはほぼ毎ステージといっていいくらい大きく変わるし、主人公リビッツたちが暮らす「クラフトワールド」の世界がギミックと一緒にダイナミックに動く様子を見ていれば、飽きてる暇はないだろう。リビッツ自身のアクションを強化するアイテムもステージによって用意されているので、クリアまで単調さを感じることはまったくなかったし、難易度については「初心者だとクリアまでは難しいかもしれない」程度の低すぎない良い塩梅だった。
音楽もノリ良いものが揃っていて、どうやら有名な洋楽も使っているらしい。背景も合わせて動く。
ダメじゃないけど似てるよね
4人マルチプレイ型3Dアクションとして、ゲームの流れや一部ギミックに『スーパーマリオ3Dワールド(2013)と少なからず共通点がある。しかし『3Dワールド』と比べても、上述のステージバリエーションの多彩さと、リビッツおなじみの豊富な着せ替え要素やエモート機能などの見た目のリッチさは本作の方が軍配が上がるのは間違いない。決して没個性的な作品にはなっていない。
無視できない欠点
分かりづらい敵と攻撃
『マリオ』シリーズは、踏んではいけない敵にはトゲを装備させるというような「機能とデザインの一致」という方針があるらしい。
元倉
デザイン的な視点でお話すると、
「機能的でなければならない」と、宮本さんから言われました。(中略)
岩田
『マリオ』には、ひと目見ただけで
踏んだら痛そうなカメなんかが登場しますけど、
そういうことですね。元倉
だからトゲをつけるようにしたりとか、
そんなことをいつも考えながら、デザインを心がけていました。岩田
任天堂 社長が訊く『スーパーマリオギャラクシー』より
学生時代にインダストリアルデザインを学んだ
宮本さんならではの発想ですよね。
デザインは機能を表していなきゃいけないということなんですね。
この方針が本作では守られていない(そもそも別の会社の別のゲームだが)。一応デザイン上は区別されているようだが、ぱっと見でそれが「触ってはいけない場所」と理解できるほど強調されておらず、ダメージを受けて初めて理解できる場面が多々あった。接触しただけでダメージを受ける敵と、接触だけでは無害の敵の区別もわからない。無害の敵でも攻撃はしてくるわけで、どのタイミングで攻撃判定が生じるのか分かりづらかった。
また、リビッツ自身は軽快には動けずのジャンプや攻撃のリーチが短さもきになった。特に攻撃は追尾性能も高くないので、空振りが多くなり余計なボタン連打をさせらることになりストレスだ。攻撃ボタンは武器をゲットしたときだけ使うようにして、基本はジャンプからの踏みつけにしてしまってもよかったと思う。
まとめ
ごく一部不満はあれど全体的には非常にまとまっていて、遊んで楽しいゲームであることは間違いない。デュアルセンスコントローラーから出る効果音がアクションとマッチしてとても気持ち良いので音量は音にすることをおすすめする。また、僕は諸般の事情によりソロプレイでしか遊んでいないが、ソロプレイだけでも4人で遊ぶのも楽しいタイトルだと容易に想像できる出来だし、少なくとも『スーパーマリオ3Dワールド』が好きな人は、満足の一作になるのは間違いないのでぜひ遊んでほしい。ちなみに、マリオと同じくストーリーに期待してはいけない。